音楽を聞いて鳥肌が立つ人と立たない人間がいるらしい。
自分は前者であるのだがこの感覚が共有できない人もいると思うと悲しい。そして体験できない人にはこの音楽は鳥肌ものだ、と言っても伝わらないのだ。
ただ今回どちらの人でも大丈夫である。この音楽を聞くと体が震える感覚を覚えるからだ。この感覚は共有できるはずである。
Salami Rose Joe Louis
名前の字面でまったくどんな人か分からない。アメリカはサンディエゴ出身のLindsay Olsenのソロプロジェクトである。ステレオラブやJ-Dilla、レゲエにパンクなど様々な音楽を聞いてきたそうだ。(高校時代はパンクバンドを組んでいたそう)今どきは一つのジャンルのみを聞いてきた人の方が珍しいわけではあるのだが。
最新アルバムの"Zdenka 2080"である。2080年の地球(それも荒廃しているという)をモチーフにしているそうだ。というのもsalami-rose-joe-louisが大学時代に宇宙工学を学んでいたそうでそこからモチーフを得ているらしい。曲名も8次元であったり、珪藻と、化学の話や宇宙といったところになってくる。私自身は全くそこらには詳しくない上に英語もできないので言語的にも知識としても何を言っているかさっぱりだ。
Salami Rose Joe Louis - 'Octagonal Room' (Official Video)
にもかかわらずそのテーマを聞く前に曲のみを聞いて揺らぎとも違う、もっとざわついた云わば震えを覚えた。空調の効きはちょうどいいはずだ。
一般、曲を聞くとき意識的にでも無意識的にでも、リズムが真ん中にきて聞いているわけである。ただ、この曲を聞いてその中心が聞き取れなかった。確かにリズムが鳴っているのだが曲全体がそのリズムに乗っていない。そのために震えてしまう。
宇宙に行ったことはおそらくないだろうがもし無重力を体感できたなら、まず感じるのは浮遊感ではなく、軸が感じられなくなるのが先なのだろうかとさえ思えるほどだ。
ブラックミュージックにあるレイドバックといったリズムのヨレとは違う。例えると独楽である。初めのうちは回るスピードも速く、安定をしている。ドンドンスピードが落ちていくと首が左右へとだんだん振れていく。ちょうどそれなのだ。止まる寸前回転が見えるほどゆっくりながらまだ動く。この音楽には怪しさが裏にある。
今日も重力を感じながら音楽を聞く。