お風呂に入って後悔した人はいない。考え事もリラックスもできる。ちなみに私は踊るときもある。落ち着きが存在する。音楽でも疑似体験できる。Bathsを聞けばいい。
(今年出したコンピレーションのアルバム。最新作である)
消極的な肯定
BathsはLA在住のアーティスト、ウィル・ウィーゼンフェルドのソロプロジェクトである。1989年出身だ。Geoticとの名義でもリリースしておりBathsの方がよりアクティブな感じがする。あくまで感じだ。どちらも聞けばいい。
Ghostly Internationalというレーベルに所属している。エレクトロニカ系統が多く所属している。Bathsも漏れずエレクトロニカの様相がある。
エレクトロニカと聞くだけである程度どのような音楽かが想像がついてしまう。一つ一つにリヴァーブやディレイが掛かり、高低差を感じる音に囲まれている。もちろんBathsもその特徴が当てはまる。
アーティストの特徴はその中でどのように音楽を解釈、表現するかに依存してくる。Bathsの場合、エレクトロニカとのジャンルを楽観的な解釈で調理していると感じる。
Baths - "Out" (OFFICIAL VIDEO)
三枚目のアルバム、"Romaplasm"からの一曲である。音単体を聞くとエレクトロニカだが全体的に”陽”っぽさがある。限りなく陰に近い陽だ。おしとやかに踊る。静かながらエネルギッシュである。エレクトロニカの耳にやさしい音でゆっくりと踊れる。
踊りにはいろいろある。頭をガンガン振ることもそうだし、サビで盛り上がるものもそう(所謂EDMと呼ばれるものだ)。それは外部的に見えるものだ。別に踊りとは体を激しく揺らすことだけじゃない。揺らぐのも踊りと言っても差し支えない。
1stアルバムからの曲だ。暗い感じもするが体の芯から動ける。大きくは動かないかもしれないがかすかにでも揺れる。立派なダンスだ。誰に強要されたわけでもない。好きにすればいい。消極的な肯定。聞こえは悪いかもしれないがその形容が合うと思う。
いつも元気にふるまっていて疲れている人も、元々からそんなに声が大きくない人も聞いてほしい。電子音が包んでくれる。温度のない音楽を体温で温めよう。