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音楽とか自分の経験したこと

Floating Points-Crush アルバム全曲感想

 個人的に言うと名前の良さにやられた。Floating Pointsの新譜がでた。

 

 さあ聞こう。Floating Pointsの新たなアルバムを。

 

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01. Falaise

 初めにバイオリンのような音でアコースティックな感じかと思っていたらどんどんエレクトロも混ざってくる。でもそれがどちらにもよらない。重心がどちらにもないまた別のところにある。

 

 何か荘厳さも得られるどこにも属さない音楽が始まることがここで示唆させられるのだ。
02. Last Bloom

 ドラムは硬質であるがシンセが特に流動的になっている。個々でもやはりどちらにもよりすぎない。

 

 進むごとにドラムが細かくなっていく。そうなると展開としてきっかりと締まっていく。かと思うとドラムがなくなり緩まる。この緩急のつけ方が分かりやすく盛り上げる所謂EDMのようなものとは一線を画しており、スマートな上がり方になる。
03. Anasickmodular

 


Floating Points - Anasickmodular (Official Video)

 素直なエレクトロサウンドになっている。やっぱりストレートなものにこそその人の実力が顕著に出ると思っているのだが疑うことのないレベルである。

 

 がっぷり四つな音をまず聞こう。
04. Requiem for CS70 and Strings

 タイトルにもある通りストリングスの音がみそである。こういう展開の少ない音楽を聞くのは難しいがこれはすんなり聞ける。

 

 ただエレクトロサウンドにとどまらず、ここにストリングスが入っていることによって憂いさすら感じられる。
05. Karakul

 実験的なものになっている。ただ耳障りのいい音を配置するのではないのだがトータルでみてみるとなにか慰められる気分になる。
06. LesAlpx


Floating Points - LesAlpx (Official Audio)

 これはアルバムリリースに先駆けて先行で聞けるようになっていた曲である。

 

 これを聞いて複雑な感情になった。もちろん音がかっこいい。そして盛り上がることもできる。ただ明るいかと言われるとそうでもないのだ。

 

 ビートにストイックであるが故に一つの曲を聞くだけで様々な感想を持ちうる百面相的な一曲である。
07. Bias

 初めの方では何か泳ぐ魚のようにスルスルと、もやもやしたサウンドで曲が続く。ただどんどん背後の方からビートが迫ってきてより肉片を得てくる。

 

 そして入れ替わっていく。表が裏になっていくその部分を思う。自分は表だけ見て思い込んでいたのか。まさにバイアスにかかっていた。
08. Environments

 Environmentsなだけにアンビエント的な要素も受ける。

 

 しかし、アンビエントミュージックとは決してイージーリスニングではないのだという思想がひしひしと伝わる。簡単に咀嚼できるヤワさでは決してない。
09. Birth

 言うならば、エレクトロミュージックの弾き語りであるという印象を受けた。

 

 メインが一つの音色でまるで感情の起伏かのような波うつ音には神経を触られているようであった。
10. Sea-Watch

 この曲もストリングスに注目するべきな曲になっている。

 

 効果的とはよく言ったものであって、最早曲の中心的な要素となっているのはベースやビートなどが軸となりやすい既存の楽曲というものに一つ反旗を掲げている。
11. Apoptose Pt1

 パートが二つに分かれているうちの一曲。ドンドン加速していくような作り。

 

 加速といっても加速度的にではなく、ほんとに緩やかにあがっていくために違和感が感じられない。そして次に続いていく。
12. Apoptose Pt2

 先ほどまでの流れを世襲していながらスピードを保ちつつ来た、という雰囲気がある曲になっている。

 

 多分これはパートを2つに分けたという外枠側をまず認識することによって受け取り方も変わるのだ。面白い。そして本編はここで終わる。

13. LesAlpx Dub (JAPANESE SPECIAL EDITION)

 日本のみの限定曲。Dubバージョンになっている。

 

 リバーブの深さがまるで深淵である。底が見えない。

 

 

 

 

 

 大満足なアルバムになっていた。粋という言葉に合ういい音楽である。