友達からラインが来た。パルコのやつが当たってコーネリアスのライブが見れる、とのことだ。
雨の降っている出先でこのメッセージを見たのだが雨に唄えばになった。まさにSingin' in the Rain。身近にそれも敬愛するコーネリアスが目の前で見られるチャンスは二度とこないからである。
そんなわけでコーネリアスを見てきた。その感想を書いていきたい。
あと正直やった曲は覚えているのだが、曲順が間違っているかもしれない。そこは大目に見ていただきたい。
パルコ内部
中は写真がNGだったので私の稚拙な文章でなんとなく味わってほしい。
屋上10階の部分でやった。ただ屋内のイベントスペースのような場所があったのでそこで行った。
そして抽選で選ばれた限定のライブであった。大体100人弱である。このプレミア感。実際私は前から3列目の超至近距離で見ることができた。4人の息遣いまでも聞こえる距離での緊迫感のあるライブは凄まじい。
セットリスト、全曲感想
1. Another View Point
20:00定刻、突如パルコの歴代のCMが流れてスタートする。画質の粗めな動画を見ながらワクワクが止まらない。何本か流れたあとにコーネリアスメンバーが入ってくる。
この後どうやって始まるのかと思うとそのままドラムが入ってくる。Another View Pointである。きまった。
そこから様々なCMをカットアップし、コラージュがそのまま滝のように繋がっていく。脈々と流れるパルコの歴史から今現在流れている安倍政権のニュース、上沼恵美子、Matt、全裸監督。カオスが広がる。
そしてコーネリアスのサウンドの整頓さ、秩序。相反するものがぶつかることでより大きいエネルギーに変換される。圧倒的な体験である。
まさに今この瞬間そしてこの場所にいることでしか得ることのできないものであるのだ。一曲目にこれを見せつけられてしまうともう口が閉じない。
2. Audio Architecture
そのままAudio Architecture。これもまた映像との親和性が一品である。
途中に小山田が言った言葉に合わせた音を発する場面が出てくる。ここがとても見せ場でもあるのだがその表現がそれ以外ない、と思わせるほどの一つの正答なのだ。
特に"Quite"という部分。小山田が手を叩き、その残響音とともに音が衰退していくのだが本当に世界から音が消えたと思った。いや、消したの方が正しい。
コーネリアスの造作一つ一つに目が離せなかった。
3. いつか/どこか
大抵の最近のライブではこの曲が一番最初であることが多い。ただ今回はパルコ特別仕様なのでAnother View Pointに譲った形であると思う。
疾走感のあるのだが特にギターソロにやはり目が行ってしまう。人力で行うコーネリアスのライブで人間感のあるソロである。ここには胸が熱くなる。さらに言うとギターの音がとても耳に刺さるいい音なのだ。
そして曲間はほぼなく次に進む。
4. COUNT FIVE OR SIX
"1,2,3,4,5,6"というカウントが聞こえる。FANTAZMAの中でも特に戦闘力のある一曲である。縦ノリのロックのような。ただロックではない。一瞬で矛盾を生み出しているのだがただギターロックではない。
というのも映像とのリンクがあるからである。そしてそれは人力で行われている。そのヒリヒリさがこっちまで伝わる。
その緊張と曲の激しさが相まってさらに素晴らしく頭の振ることができるものになる。
個人的にいうとベースラインがとてもツボである。
5. I Hate Hate
こちらは"Point"の中でも一番戦闘力のある一曲。ギターのタッピングと照明の鋭い点滅。
ただ特にドラミングに持っていかれてしまった。速いフレーズを寸分狂わずに刻みそのまま曲の良さに繋がっていく。あらきさんマジ凄い。
6. Point of View Point
"Point"の曲が続く。リズムがずれていくようなどこが主軸のリズムかわからなくなる感覚を生で感じ取れるとは感慨深い。車が高速で流れる映像にリズムの分からなくなる曲と情報過多の海に溺れた。ただその体験が凄く気持ちよいのだ。
“Point"という所を3人で手分けしている。それぞれ違う声で交互に交わるのが気持ちよくなる。
7. Beep It
"Sensuous"からの一曲。堀江さんのカウベルがアクセントになっていた。恨みでもあるのかと思うほどに強く、そしてその打撃は効果的に響いていた。
ギターのディレイにもキーボードの特徴あるシンセ音にも酔いしれることができた。
8. Fit song
どのタイミング?と思うほどにいろんな楽器がそれぞれのタイミングで音を鳴らす。そこにはさらに小山田の声が入ってくる。
ところどころで空白が入る。其れすらも操っている。コーネリアスにとっては無音という音符なのだ。
9. GUM
"Sensuous"での戦闘力の高い一曲。ベースが特に重みを生み出すのに起因している。
後ろの唇の画像と共に演奏しているようだ。そして途中からさらにボルテージが上がる。
そう思うといきなり舞台全体が一気に明るくなり全員を照らす。無音。そして轟音。轟音とともに激しい照明の点滅。まるでフラッシュバック現象のような音と映像の衝撃に包まれる。
10. あなたがいるなら
バスドラとスネアのゆったりとしたフレーズ。もうこの曲で最後だということがフロア全体からにじみ出ている。
そこに悲しさは不思議とない。むしろこの曲の持つポテンシャルに包まれ心地の良い気分になっていく。
世の中にはチルというジャンルがある。まさにこの曲はチルと言わずに何というのか。それもコーネリアスの行うコーネリアス由来のチル。
すべての音、映像が私の内部に揺らぎ巡って行く。ゆらゆらと煙が昇るような掴み切れない。血液の温度がぐっと上昇した。
最後にユニークで可愛らしい音と共に写される「Thank You very very Much , Everyone」の文字。こちらが感謝でしかない。拍手は鳴りやまない。そして約1時間で幕を閉じた。
コーネリアスという作品
すべて終わって圧倒された。そしていま私の前で行われていたものは単なる音楽だけではなかった。映像と音楽と振る舞い。すべてが一つに重なってコーネリアスという作品になっていた。本当に素晴らしい。
人の力でこれを行うという制約そのものがより作品の強靭さに結びついているのは言うまでもない。
ずっと好きであったコーネリアスを生で見れて本当によかった。うまくまとまっていないかもしれないがこれを感想とさせてもらう。