pp響く音

音楽とか自分の経験したこと

ヒップホップバトルを道端で挑まれるやつはいない

 フリースタイルダンジョンというものを恥ずかしながらこの前初めて見た。存在は知っていたのだがいまいち見る気にならなかったからだ。

 

 男と男がぶつかり合っている。容姿や態度をDisりあう中でリズムや韻を踏んでいくということをしていた。

 

 現代版の不良の喧嘩なのだろうと思った。そして誰も身体的に傷つかないしうまくいったら音楽的にも素晴らしい、らしい。

 

 

 

 

 そんな感じで30分程番組を見ていた。ふと恐ろしさが浮かび上がった。夜道でフリースタイルバトルを挑まれるかもしれないからだ。

 

 韻を踏んだことはないし、何より私はメンタルが弱い。Disられたら耐えられない。もう家に帰りたい。

 

 平和に生活したい。家でブライアンイーノでも聞いていたい。本を読みたい。ジムジャームッシュの映画を見たい。ミンティアを食べたい。サイダーを飲みたい。

 

 

 

 でもやらないとやられる。この世は非情。我々は冷凍都市に根ずいているのだ。

 

 そこからたくさん動画を見た。目に見えるものに韻を踏めるように練習した。山里亮太の不毛な議論を聞いた。Disの作法を学んだ。

 

 

 

 一週間がたつ。挑まれない。これからも挑まれないのかもしれない。そういえば周りのヒップホップ好きな奴は性格いいやつも多い。そう簡単に誰でもかんでもは挑まない。

 

 

 

 安堵と同時に虚しさが残る。冷凍都市に我々は生きる。かの向井秀徳先生のお言葉だ。冷凍都市は無関心であったのだ。北斗の拳的な無法地帯ではない。

 

 そして気づいたのだ。この冷凍都市に生きるからこそ熱さや暴力性を求めてフリースタイルなどのバトルが流行るのだろうか。

 

 

 

 

 分からない。そして多分違う。今日も私は生命を維持していく。